マンションは民泊禁止?|管理規約の確認方法、禁止される理由など紹介

マンションは民泊禁止?|管理規約の確認方法、禁止される理由など紹介

「住宅宿泊事業法」(民泊新法)が施行され、個人の所有する住居でも条件を満たすことで民泊事業を行うことが可能になりました。

ただし、マンションの1室を利用して民泊運営を行うことは、未だハードルが高いと言わざるを得ません。

今回は、「マンションでも民泊ができるのか」「マンションで民泊運営を行うためにはどのような条件が必要か」などを静岡県伊豆にある「行政書士・マンション管理士 かなざし事務所」がくわしく解説します。

民泊とは

民泊とは

民泊とは、住宅の全部または一部を活用して宿泊サービスを提供することです。

以前は、マンションで合法的に民泊を行うために、旅館業法の許可を取得するには、以下のような制約があり、実質的にはマンションの一室のみで旅館業法の許可を取得するのは現実的に難しい状態でした。

  • 客室が33㎡以上必要
  • 玄関帳場(フロント)が必要

マンションの一室で上記のような許可条件を満たすのは、難しいですよね。

しかし、2016年に旅館業法が一部改正され、簡易宿所は3.3㎡以上、客室10名以下の施設では玄関帳場(フロント)が不要になり、マンションの一室でも合法的に民泊運営を行うことが現実的になりました。

民泊の種類

民泊の種類

一口に民泊と言っても、「簡易宿所」「特区民泊」「新法民泊」などの種類があり、それぞれ条件が異なりますので注意しましょう。

ここでは、民泊の種類について解説します。

簡易宿所

簡易宿所は、客室を多人数で共有する宿泊施設です。

(例)

  • カプセルホテル
  • 合宿所
  • 民宿

ただし、簡易宿所は旅館業法の許可を受ける必要があるので、以下の地域では営業できません。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域
  • 第一種住居地域(3,000㎡越えの施設のみ付加)

特区民泊

特区民泊とは、「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」と呼ばれるもので、ホテルや旅館の足りない地域で宿泊する場所を増やすためにつくられたルールです。

180日ルールの日数制限がないこと、宿泊日数に最低日数制限があることなどが民泊新法との違いです。

最低宿泊日数は、2泊3日とされています。

また、「特区民泊」は、東京都大田区・大阪府・大阪市・北九州市・千葉市など特定の地域でのみ実施可能であることに注意しましょう。

住宅宿泊事業法(民泊新法)

住宅宿泊事業法第3条第1項の届出をした者は、旅館業法第3条第1項の規定にかかわらず、住宅宿泊事業を営むことができます。

旅館業法と違い、届出を行うだけで営業できるのが住宅宿泊事業法における民泊の特徴です。

ただし、人を宿泊させる日数が180日を超えないことや「設備要件」「居住要件」があることに注意が必要です。

マンションで民泊を行うにはほとんどの場合、住宅宿泊事業法における民泊になるかと思います。

住宅宿泊事業法における民泊は、行政に届出することで運営できるので、ハードルは低くなりますが、行政における検査や必要な添付書類がたくさんあるので注意しましょう。

また、実際のところ、マンションにおいて民泊が禁止されていることも多く、トラブルを起こさないためにも事前の確認が必要です。

次の章からは、マンションにおける民泊運営の難しさについて解説します。

マンションで民泊を運営するのが難しい理由

マンションで民泊を運営するのが難しい理由

マンションで民泊を運営するには、いくつかのハードルをクリアしなければなりません。

ここでは、マンションで民泊を運営するのが難しい理由について解説します。

マンション管理規約で民泊が禁止されているケースが多い

マンション管理規約とは、「マンションの憲法」と呼ばれるもので、共用部分の範囲や使用方法などマンションのルールが記載されているものです。

「民泊を行なってよいかどうかどこに書いてあるの?」という方もいらっしゃるかと思いますが、一般的には(専有部分の用途)に記載されています。

まず、民泊を禁止する場合には以下のような記載になっているはずです。

マンション管理規約(例)
(専有部分の用途)
第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない

その他にも、「区分所有者は、その専有部分を、宿泊料を受けて人を宿泊させる事業を行う用途に供してはならない」のような記載がある場合にも、民泊禁止であることがわかります。

上記は、国土交通省の標準管理規約の例ですが、そもそもマンションの管理規約では、区分所有者はその専有部分を専ら住宅として使用するものとし・・と記載があるように、「住む」という用途以外に使用できないことが前提とされています。

この「住宅」に民泊が含まれるかについては、国土交通省が特区民泊を実施するには管理規約の改正が必要になると回答しています。

ただし、無用なトラブルを避けるためにも民泊を禁止する意向を明確に管理規約に記載するのが望ましいと言えるでしょう。

一方で、マンションで民泊をを行いたい方は、以下のような明確に民泊を認める条文が管理規約にない限りは、民泊運営はできない前提で考えた方がよいでしょう。

平成30年に「一般社団法人マンション管理業協会が行った調査」においても80.5%が、民泊禁止方針の決議があり、容認方針の決議はわずか0.3%、決議なしが19.1%とされていますから、ほとんどのマンションで民泊は容認されていないと考えることができるからです。

民泊新法における民泊を認めるマンション管理規約(例)
(専有部分の用途)
第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。

管理規約を確認するだけでなく、事前に管理会社や管理組合に相談することでトラブルを防止できます。

静岡県東部~伊豆エリア、神奈川県西部(小田原、箱根、真鶴、湯河原)エリアで「民泊を明確に禁止したいけどどうしたらよいのか」とお悩みの方は、「かなざし事務所」にお問い合わせください。

経験豊富なマンション管理士が、管理規約の改正案の作成、管理規約を改正するための手続きなどをサポートいたします。

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消防設備

共同住宅の一部を民泊として利用することで、共同住宅の消防法上の用途が変更になります。

これにより、場合によっては、マンションの建物全体に自動火災報知設備、誘導灯などの設置が必要となるケースがあります。

当然ですが、民泊を行いたい一人の区分所有者のために全体の設備を増やさなければならない状態になれば、設置コストだけでなく維持管理コストも管理組合の負担になるわけですから、承認される可能性は低くなります。

300㎡以上500㎡未満の建物は本来、自動火災報知設備の設置義務はありませんが、

民泊部分が1割を超えると建物全体に自動火災報知設備の設置が必要になります。

多くのマンションの管理規約で民泊が禁止される理由

多くのマンションの管理規約で民泊が禁止される理由

マンションの管理規約で民泊が禁止される理由は、以下のとおりです。

  • 騒音問題
  • ゴミ出しルールが守られない
  • 防犯面の不安

やはり、不特定多数の人が出入りすることで、「不審者が紛れ込んでいる」「ゴミが分別されていない」「深夜まで騒いでいる」などの懸念がありますから、実際に住んでいる方は望ましくないと考える方が多いのではないでしょうか。

マンションの管理規約は改正できる?

マンションの区分所有者の大多数が民泊に賛成であれば、管理規約を変更して民泊を可能にすることもできます。

ただし、多くの場合、区分所有者数及び議決権の4分の3以上の多数によることとされていますので、ハードルは高いです。

マンションで民泊を容認することは、デメリットだけではありませんので、多数の所有者を納得させれば、総会の特別決議で民泊を容認する管理規約に変更することも可能です。

ただし、想定されるトラブルへの対策、所有者への事前の合意形成などしっかりと段階を踏むことが重要です。

まとめ

マンションの民泊でトラブルを起こさないためにも、民泊運営者は「民泊が管理規約で禁止されていないか」をしっかりと確認するようにしましょう。

また、マンション管理組合側も民泊を禁止したいのであれば、曖昧な規約ではなく「明確に管理規約で民泊を禁止する」ことが重要です。

今回紹介した情報が、「民泊に対する対応」にお悩みの管理組合様の参考になれば幸いです。

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管理組合顧問業務から管理規約改正、管理会社変更などスポット業務も対応可能です。

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投稿者プロフィール

金指 安弘
金指 安弘行政書士 マンション管理士
金指 安弘
マンション管理会社でフロントマンとして勤務。
マンション管理士 かなざし事務所を設立。
行政書士 かなざし事務所を設立

保有資格:マンション管理士
     管理業務主任者
     行政書士
     宅建士有資格者
     第二種電気工事士
     二級ボイラー技士
     乙種第四類危険物取扱主任者
     甲種防火管理者

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