【マンションの総会】出席率を上げるための方法|不成立の場合はどうするのか、総会決議無効になるケースなど解説

【マンションの総会】出席率を上げるための方法|不成立の場合はどうするのか、総会決議無効になるケースなど解説

マンションの総会の出席率が悪い。どうにかならないのか。」とお悩みの役員様は、多いのではないでしょうか。

マンションの総会は、区分所有者が集まり収支予算や管理組合運営の意思決定を行う大事な場であるため、積極的に参加してほしいところですよね。

しかしながら、実際のところ、「めんどくさい」「どうでもいい」などマンションの管理組合に無関心な層が多いマンションも数多くあります。

今回は、静岡県伊豆にあるマンション管理士事務所『かなざし 事務所』がマンションの総会出席率を上げるための方法、不成立の場合はどうなるのかなどをくわしく紹介します。

マンションの総会の成立要件

マンションの総会の成立要件|伊豆|マンション管理士 かなざし事務所

マンションの総会の成立要件は、マンションの管理規約により異なりますが、国土交通省が公表しているマンション標準管理規約における総会の成立要件は以下とおりです。

(総会の会議及び議事)

第47条 総会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。

参照元;国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」

上記のとおり、一般的には議決権総数の半数以上の出席が必要です。

例えば、70戸のマンションであれば、35戸以上の出席がなければ総会は成立しないことに注意しましょう。

また、マンションの総会の出席とは、議決権行使書や委任状を含むことにも注意が必要です。

マンションの総会の出席率を上げるための方法

マンションの総会の出席率を上げるための方法|伊豆|マンション管理士 かなざし 事務所

国土交通省が実施した令和5年度マンション総合調査によると、直近の通常総会への区分所有者の出席割合の平均は88.5%とされています。

しかしながら、実際に総会の場に出席した割合は、平均で24.6%であり、総戸数が大きくなるほど出席率は低くなる傾向があります。

参照元;国土交通省ホームページ「令和5年度マンション総合調査結果」

特に、リゾートマンションや大規模マンションンの出席率は低く、本来的には区分所有者の全員の参加が求められるマンションの総会への出席率を上げる必要があります。

ここでは、マンションの総会の出席率を上げる方法を紹介します。

総会議案書を早めに配布する

一般的に、通常総会の2週間前に組合員に対して総会の開催通知を発します。

しかし、昨今の郵便事情を考慮すると、2週間前に開催通知を発信しても「出席の都合がつけられない」「議案の内容を読む暇がない」などの不都合が生じます。

また、役員側も出席を催促する時間が制限されますので、総会議案書をできる限り早めに配布するように心がけましょう。

総会議案書の検討は総会開催予定日の3~4ヶ月前から検討し、確定した時点で管理会社にも早く発送するように促すようにしないと、管理会社都合で議案書の発送が遅れる場合もあるので注意しましょう。

懇親会などイベントを企画する

マンションの区分所有者の中には、「他の区分所有者とコミュニケーションをとりたい」と考えている方も多いです。

そこで、懇親会などのイベントを総会開催日に企画することで出席率を高められます。

近年、マンションの2つの老いがクローズアップされていますが、管理組合として災害時の居住者の安否確認が必要となるケースもありますので、コミュニケーションの場が必要になっていることからも総会開催日に懇親会を開くことはおすすめの方法です。

総会に出席しやすい日程に調整する

例えば、現役世代が多いマンションで平日に総会を開催しても「仕事で来られない」方が多いのではないでしょうか。

また、早めに総会の開催日を決定し、周知することで多くの方が出席の都合をつけやすくなります。

総会の開催日だけでも早めに決めて掲示板や通知によってお知らせすると、出席率を高められます。

また、学校行事のある日程を避けるなどの工夫も必要です。

わかりやすい議案書をつくる

マンションの開催通知には総会議案書を添付しますが、議案書がわかりにくいと総会に出席するモチベーションが低下します。

以下のような工夫により、わかりやすい総会議案書を作成することも重要なポイントです。

  • 意見が割れそうな議案については事前にアンケートをとる
  • 式次第を入れる
  • 意思表示をするための材料をそろえる(資料、見積、仕様書など)

特に、意見が割れそうな議案に関しては、事前にアンケートをとることで一般の区分所有者の興味・関心を得られます。

スムーズな進行を心がける

活発な議論が行われれば、総会は長くなりますが、あまりにも長い総会は出席の意欲がなくなります。

以下のような工夫により、総会をスムーズに進行させることが重要です。

  • 議案説明は簡潔に行う
  • 同じ出席者が同様の質問を繰り返すことを防止する
  • 議案の内容により質問に回答する理事を決めておく
  • 議案と無関係な発言は控えてもらう

マンションの総会では、同じ人が同様の質問を繰り返すことで「他の出席者が意見を述べられない」「異常に総会が長くなる」などの不都合が生じます。

質問に回答することは、当然ですが、「場の空気」を察知し、場合によっては質疑を打ち切り採決するような進行も必要になります。

マンションの総会の進め方については、以下の記事で確認できます。

>初めてのマンション総会の進め方|荒れない総会にするための手順とポイントをマンション管理士が解説

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マンションの総会の出席率を上げるメリット・デメリット

マンションの総会の出席率を上げるメリット・デメリット

マンションの総会の出席率を上げることで得られるメリット、対策すべきデメリットを紹介します。

メリット

マンションの総会の出席率を上げることで得られるメリットは以下のとおりです。

  • 議論が活性化する
  • 管理組合運営への関心が高まる

マンションの総会の出席率が高まることで、さまざまな意見を徴収し管理組合運営に取り入れることができます。

また、「あとから異論がでる」「重要な議案が先送りになる」などの不都合を解消できます。

デメリット

マンションの総会の出席率を上げることで生じるデメリットは特にありません。

しかしながら、総会の出席者が多くなるほど、スムーズな司会進行が必要になることは頭に入れておきましょう。

また、採決の際に出席者が多いと数え間違えなどのリスクがあることから、「賛成・反対を書面に記載してもらう」などの工夫が必要です。

マンションの総会の議決権の数え方

マンションの総会において議決権のカウントミスがないようにしっかりとチェックする必要があります。

ここでは、マンション総会における議決権の数え方について解説します。

普通決議

普通決議とは、通常の議案について過半数の賛成により可決することを指します。(管理規約により別段の定めをすることも可能)

当然ながら、議決権行使書や委任状の数も算入しますので、事前に議決権行使書、委任状の賛成数をカウントしておくと当日ミスをするリスクを軽減できます。

特別決議

特別決議は、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決し、標準管理規約においては以下のように列挙されています。

  • 規約の制定、変更又は廃止
  • 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く)
  • 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
  • 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
  • その他総会において本項の方法により決議することとした事項

また、建て替え決議においては組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上、敷地売却決議は組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行なうこととされています。

このように、特別決議事項はかなりシビアな条件になっていますので、総会当日になるまでわからないことが多く、しっかりと賛成数をカウントする必要があることに注意しましょう。

マンションの総会で反対意見が出た場合の対処法

マンションの総会で反対意見が出た場合の対処法|伊豆|マンション管理士 かなざし事務所

マンションの総会は、議案に対する反対意見が出ることもあります。

議場で反対意見が出た場合に、執行部がスムーズに進行することも「出席しやすい総会」にするためのポイントです。

ここでは、マンションの総会で反対意見が出た場合の対処法を解説します。

議案の内容に反対意見が出た場合

総会の場で反対意見が出た場合の対処法に定説はありません。

例えば、出席者の反対意見が少数で議決権行使書、委任状、出席者を含めた賛成が多数であれば、採決をとるのが一般的です。

しかしながら、議決権行使書や委任状により採決をとれば可決されるものの、出席者の大多数が反対するケースも起こります。

このような場合、以下の2つの方法が考えられます。

  • 強行採決により賛成多数で議案を可決する
  • 出席者の意見を尊重し、議案を流す

原理原則から言えば、議決権行使書や委任状の意思表示も出席者の意思表示も同じですから、賛成多数で可決しても問題ありません。

出席者の意見を無視することになりますが、保留にすれば欠席者の意見を無視することになるからです。

しかしながら、区分所有法においても「総会での話し合いを重視」していますし、直接説明した場で反対意見が多いのであれば、何らかの問題があると考えられます。

場の空気的にも強行採決をするのが難しい場合には、禁じ手ではありますが、一旦議案を保留にして改めて理事会で審議し、臨時総会で再度採決をとるという方法も検討しましょう。

動議が出された場合の対処法

動議とは、予定していない議案を出されることを指します。

多くの区分所有者が集まる総会では、時折総会出席者から動議が出されることがあります。

例えば、議案の内容と関係なしに「宅配ボックスがないと不便だから置いたらどうか」などの意見が出されるケースですね。

マンションの総会ではよくあることですが、原則として総会においてはあらかじめ通知した事項についてのみ決議できます。

場合によっては、出席者全員が動議に賛成することもありますが、議案に関係のない動議は、欠席者にとっては検討していない事項ですからその場の出席者だけで決議を採るのは適切ではありません。

まとめ

今回は、マンションの総会の出席率を上げる方法について解説しました。

マンションの総会の出席率を上げることで、「議論の活性化」「管理組合運営への興味・関心の向上」などさまざまなメリットがあります。

そして、出席率を上げるためには総会の「日程」「雰囲気」などを工夫し、出席しやすい総会にすることが大切です。

今回紹介した情報が、「総会の出席率を上げたい」とお悩みの管理組合役員様の参考になれば幸いです。

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投稿者プロフィール

金指 安弘
金指 安弘行政書士 マンション管理士
金指 安弘
マンション管理会社でフロントマンとして勤務。
マンション管理士 かなざし事務所を設立。
行政書士 かなざし事務所を設立

保有資格:マンション管理士
     管理業務主任者
     行政書士
     宅建士有資格者
     第二種電気工事士
     二級ボイラー技士
     乙種第四類危険物取扱主任者
     甲種防火管理者

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