マンションの管理組合がうざい?自分が役員になるのを拒否できるのか解説
マンションの管理組合は、区分所有者で構成されていて、マンションの管理組合の執行部である理事会の役員へ就任を依頼されることもあるでしょう。
管理組合の役員になれば、定期的に開催される理事会へ出席しなければならないですし、活発な管理組合の役員は業務が多くて大変なこともあります。
したがって、「マンションの管理組合がうざい・・」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
今回は、静岡県伊豆にあるマンション管理士事務所『かなざし 事務所』が、そもそも「マンションの管理組合とは何なのか」「自分が役員になるのを拒否できるのか」などを解説します。
目次
そもそもマンションの管理組合とは
マンションの管理組合とは、マンションの区分所有者で構成される団体で、マンションの全体の管理運営を行います。
したがって、マンションを購入した人は必ず管理組合に加入することになり、「私は入りたくないから入らない」という選択はできないことに注意しましょう。
マンションの区分所有者のことを組合員と呼ぶのはそのためです。
国土交通省が公表しているマンション標準管理規約では、管理組合の業務として下記の事項を例示しています。
第2節 管理組合の業務
出典;国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」
(業務)
第32条 管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、次
の各号に掲げる業務を行う。
一 管理組合が管理する敷地及び共用部分等(以下本条及び第48条にお
いて「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及び
ごみ処理
二 組合管理部分の修繕
三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理
四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
五 適正化法第103条第1項に定める、宅地建物取引業者から交付を受
けた設計図書の管理
六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
七 共用部分等に係る火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務
八 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適
当であると認められる管理行為
九 敷地及び共用部分等の変更及び運営
十 修繕積立金の運用
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
十一 官公署、町内会等との渉外業務
十二 マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住
環境の維持及び向上に関する業務
十三 広報及び連絡業務
十四 管理組合の消滅時における残余財産の清算
十五 その他建物並びにその敷地及び附属施設の管理に関する業務
上記のように、住環境の維持や資産価値の向上のためにマンションに関する幅広い業務を担うのがマンションの管理組合です。
自分が管理組合の役員になることを拒否できる?
マンションに関することは原則的に管理組合で決めますが、多くの場合、総会で役員を決め理事で構成される理事会が執行部となって管理組合運営を執行することになります。
管理組合の役員は総会で決めるのが一般的ですが、役員候補者に関しては下記のような形で選任されます。
- 役員からの推薦
- 立候補
- 輪番制
例えば、輪番制などで役員候補者になってしまった場合に、「役員への就任を断れるのか」という点に関しては、基本的には断れません。
もちろん、「病気で理事会へ出席できない」「高齢のため参加が難しい」などやむを得ない事情がある場合には、断ることもできますが、結論としては、「可能な限り、役員の就任は断らない」ようにしましょう。
なぜなら、マンションに住んでいる方はそれぞれ様々な事情を抱えている中で、役員へ就任する方も多くいらっしゃいますし、役員へ就任することで所有しているマンションをより良くするための提案などもできるからです。
このように、マンションの管理組合がうざいと感じることもあるかもしれませんが、基本的にはマンションを購入したすべての方に加入する義務があるので公平性の観点からも拒否することはおすすめしません。
そして管理組合の活動に積極的に参加することでマンションの住環境や資産価値の向上を促すことができるという観点からも役員の就任は可能な限り受けるようにしましょう。
マンションの理事会とは
マンションの総会で選任された理事で構成される団体が、理事会です。
マンションの管理組合の業務については、総会で決定しますが、総会で決定した予算や事業計画に従って業務を執行するのが理事会の役割です。
マンションの総会については、下記の記事でも紹介していますので参考にしてみてください。
>初めてのマンション総会の進め方|荒れない総会にするための手順とポイントをマンション管理士が解説
理事会は、管理組合に必ず必要な組織ではありませんが、管理規約で理事会を構成することを定めている管理組合が多いです。
そして、役員の人数は管理規約に記載があることがほとんどですが、概ね10~15戸に1人の割合を目安としましょう。
ここでは、理事会の役職について紹介します。
理事長
(理事長)
出典;国土交通省「標準管理規約(単棟型)」
第38条 理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
一 規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
二 理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。
2 理事長は、区分所有法に定める管理者とする。
3 理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。
4 理事長は、○か月に1回以上、職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
5 理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる。
6 管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事又は理事長以外の理事が管理組合を代表する。
上記のように理事長は管理組合を代表して、その業務を統括します。
総会での司会進行や、業務報告、役員以外の組合員からの相談など業務は多岐にわたりますので、理事の中でも最も責任が重く、逆に言えばやりがいのあるポジションです。
一般的には、総会で役員を選任し、その後開催される第一回理事会において理事の互選により、理事の中から理事長が選任されます。
副理事長
(副理事長)
出典;国土交通省「標準管理規約(単棟型)」
第39条 副理事長は、理事長を補佐し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠けたときは、その職務を行う。
上記のように、副理事長は、理事長のサポートや理事長が業務を遂行できなかったときに職務を代理する役割があります。
会計担当理事
3 会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行う。
出典;国土交通省「標準管理規約(単棟型)」
会計担当理事は、管理組合の会計業務を行います。
多くの場合、管理会社に会計業務を委託しているので、月次報告書などのチェックを行うのが会計担当理事の仕事です。
監事
(監事)
出典;国土交通省「標準管理規約(単棟型)」
第41条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
2 監事は、いつでも、理事及び第38条第1項第二号に規定する職員に対して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることができる。
3 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
4 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
5 監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。
6 監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる。
7 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。
監事は、簡単に言えば理事会の職務を監査する役割があります。
したがって、理事会の構成メンバーではなく、理事会に出席することはできますが、議決権はありません。
しかし、監事には、上記のように条件付きではありますが、臨時総会や理事会を招集する権限があります。
その他
その他にも、管理組合によっては規約により下記のように様々な役職をつけることがあります。
- 防災担当理事
- 修繕担当理事
- 広報担当理事
- 書記担当理事
まとめ
今回は管理組合の役員について解説しました。
管理組合の役員は、役職により様々な役割があり、マンションの住環境や資産価値を維持するために必要な組織です。
大変な思いをすることもありますが、マンションに購入した時点でいつかはやらなくてはならないものなので、役員へ就任の打診があれば一度は引き受けるべきでしょう。
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