リゾートマンションの管理費は高くて後悔する?|管理費を抑える方法をマンション管理士が解説

リゾートマンションの管理費 高い

大浴場などの共用施設が充実しているリゾートマンションは、多くのメリットがありますが、管理費が高い傾向があります。

また、昨今の物価高により管理会社を始め、管理組合に関わる多くの業者が値上げの提案に踏み切っている状況もあります。

今回は、静岡県伊豆にあるリゾートマンション管理運営が得意なマンション管理士事務所『かなざし 事務所』がリゾートマンションの管理費を抑えるポイントや管理組合運営のポイントなどを紹介します。

リゾートマンションの管理費の相場は?

リゾートマンション 管理費

国土交通省が実施した「平成30年度マンション総合調査結果」によると、駐車場使用料等からの充当額を含まないマンションの管理費の全国平均は10,862円とされていて、㎡単価は148円となっています。

駐車場使用料等からの充当額を除く月/戸当たりの管理費の額の平均は 10,862 円である。
形態別では、平均は、単棟型が 10,970 円、団地型が 10,419 円となっている。

形態別では、月/㎡当たりの管理費の額(使用料(駐車場使用料等)・専用使用料からの充当額を
除く)の平均は、単棟型が148円、団地型が141円となっている。

国土交通省ホームページ「平成30年度マンション総合調査結果」

しかし、実際のリゾートマンションの管理費は全国平均よりも高い傾向があり、これよりも高くなる傾向があります。

不動産業者のHPなどの情報を眺めると、概ね20,000~30,000円、㎡単価200~400円程度がリゾートマンションの管理費のボリュームゾーンになるのではないでしょうか。

次の章からは「リゾートマンションの管理費は何故高いのか」という点について検証します。

リゾートマンションの管理費が高い5つの理由

リゾートマンション 管理費が高い 理由

リゾートマンションの管理費が高いのは、下記のような理由が考えられます。

設備の管理費や維持費にコストがかかる

リゾートマンションと一般的なマンションの大きな違いにリゾートマンションは、共用部分の施設が充実しているという点があります。

例えば、大浴場、プール、テニスコート、スポーツジム、ゲストルームなどの共用部分があると、当然、維持管理費にコストがかかります。

特に、伊豆や箱根など観光地のリゾートマンションは、温泉を売りにしているマンションが多く、温泉の維持管理費には下記のように維持管理費がかかることが多いです。

  • 温泉の供給費用
  • ボイラーなどの熱源の燃料費
  • 水道料金
  • 貯湯槽、ろ過機、熱交換器、配管、ボイラーなどのメンテナンス費用
  • 大浴場・脱衣室の修繕費用
  • ボディソープ・シャンプーなどの消耗品費
  • 水質検査費(レジオネラ菌など)
  • 源泉のメンテナンス費用

上記のように、温泉を維持管理するには、大きな費用がかかります。

さらに、大浴場を清掃する、温度調整を行う人件費もかかるので、温泉を維持するのは大変なんです。

その他にも、プールには膨大な水道料金がかかりますし、テニスコートなどもメンテナンス費用が定期的に発生しますから、リゾートマンションの管理費が高いのは致し方ない部分がありますね。

戸数が少ないと負担が大きくなる

これは、リゾートマンションに限らないのですが、戸数が少ないとそれだけ戸あたりの負担が大きくなります。

例えば、20戸の温泉付きマンションよりも50戸のマンションの方が、温泉の維持管理費を分担できるので、戸あたりの負担は少なくなります。

人件費が高い

郊外にあるリゾートマンションは、通勤で管理人を募集しづらく、住み込みで募集することが多いです。

一昔前は、住み込みでも応募がありましたが、昨今の働き方改革などの流れから住み込み管理人の応募は減少し、募集をしても人が集まりにくい傾向があります

当然ながら、人が集まりにくければ人件費の単価を上げるしか方法がありませんので、人件費が高くなり、その負担は管理費から支出しますので、結果として管理費が高くなるのです。

また、温泉などの施設があるリゾートマンションは、衛生的な観点、温度管理が必要となりますので、巡回管理などが難しく、中々人件費削減に踏み切れないことも管理費が高くなる理由の一つです。

修繕費が高い

修繕費は修繕積立金から支出すると思いがちですが、恒常的に発生する修繕費は管理費会計から支出するのが一般的です。

築年数が経過したリゾートマンションでは、「配管が壊れて漏水した」「排水ポンプが壊れた」など緊急的に修繕が発生するリスクが高まるので、年間の修繕費が高くなる傾向があります。

また、分譲時に管理費会計から修繕積立金会計へ資金移動することを想定して、管理費会計を高めに設定してあることが多いのもリゾートマンションの特徴です。

管理会社への管理委託費が高い

大手の管理会社などは、都市部に支店を置くことが多いので、担当フロントマンが巡回するにも交通費や人件費が一般的なマンションよりもコストがかかります。

例えば、東京にしか支店がない管理会社が伊豆や箱根のリゾートマンションの理事会に出席するだけでも、新幹線に乗って向かわなければなりませんので、時間も交通費もかかりますよね。

このような理由から、リゾートマンションは管理会社への管理委託費が高い傾向があるのです。

リゾートマンションの管理費を抑えるためのポイント

リゾートマンション 管理費を安くするポイント
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最後に、リゾートマンションの管理費を抑えるためのポイントを紹介します。

しかしながら、昨今の物価高などで共用部の電気・ガス・重油などの燃料費、点検業者への業務委託費、修繕費は全国的に値上がりの傾向があるのが現状です。

したがって、多くの管理組合が管理費の値上げに踏み切る中、管理費を安くするにはサービスを落とすなどの大規模な改革が必要かもしれません。

ただし、リゾートマンションにはまだまだ、無駄なコストがかかっているケースもあります。

物件にもよりますが、下記のポイントで、管理費を現状維持、もしくは安くできる可能性がありますので、検討してみてはいかがでしょうか。

管理費のコスト削減を行う

徹底的な管理費のコスト削減を行うことで、成功すれば管理費を安くすることができるかもしれません。

例えば、新電力会社の検討、重油・ガス供給会社の検討、出入り業者の見直し、共用部の設備の省エネ化によるコスト削減、などいくつかの方法があります。

もちろん、業者変更はサービスが落ちることもありますし、業者を無理にいじめても良いことはありませんので注意しましょう。

「業者に安くしろ」と単純に交渉するのではなく、「適正な価格かどうかを検討」することが重要です。

また、コスト削減を重要視するがあまり、サービスを落とし過ぎて、リゾートマンションとしての資産価値を落とすこともあります。

あくまでも、資産価値を落とさないコスト削減をすることが重要であると言えるでしょう。

例えば、マンション管理士などの専門家に管理コスト削減を相談するのも一つの方法です。

マンション管理士とは、馴染みがないかもしれませんが、マンション管理のプロなので様々な知識があります。

下記の記事では、マンション管理士の仕事内容について紹介していますので、ぜひご覧ください。

>マンション管理士ってどんな仕事?|管理業務主任者との違いは?

管理会社を変更する、価格交渉する

管理会社が値上げに踏み切ってきた場合には、管理会社を変更するのも一つの方法です。

ただし、人件費の高騰など値上げの理由や値上げ幅が適正な場合には、提案を受け入れる必要があるでしょう。

管理会社を変更すると、少なからずマンションの管理組合運営に支障をきたすこともあるからです。

また、時代が変わり、大手管理会社を中心に経費がかかって儲からないマンションについては、撤退する方向に舵を切っているのが現状ですから、一昔前のように価格交渉も難しくなっているのが現状です。

ただ安いだけの管理会社に変更しても、「管理会社を変更しなければ良かった」と後悔することもあるでしょう。

したがって、管理会社のサービスと価格をしっかりと見極めて慎重に検討することが必要です。

静岡県伊豆にあるマンション管理士かなざし事務所は、管理会社変更についての助言も行っております。お気軽にご相談ください。

<お問い合わせはこちら>

自主管理に踏み切る

管理コストの削減が第一の目的であれば、自主管理に踏み切るという選択肢もあります。

ただし、分譲マンションの自主管理には、下記のようなメリット・デメリットがあるので注意しましょう。

メリットデメリット
・管理コストが大きく削減可能
・所有者の管理に対する関心が高まる
・コミュニティを形成しやすい
・役員の業務が増える
・継続が難しいこともある
・管理が不十分になることもある

管理コストを削減することで、お金が足りなくてできなくなった修繕が実施できるなど管理組合会計がひっ迫している場合には、大きなメリットがあるでしょう。

また、将来に備えて削減できた管理コストを蓄えることも可能です。

しかし、今まで管理会社がやっていた仕事を役員がやらなくてはならないので、役員の業務量は増えますし、昨今の高齢化などの問題を踏まえると、継続性についても問題があるかもしれません。

ただし、昨今では、「クラセル」などの会計アプリを導入することで、今まで管理会社しかできないと言われていた会計業務をアプリに任せることが可能になりました。

これにより、自主管理における管理組合の役員の業務量は軽減されたと言えるでしょう。

また、マンション管理士などの専門家に顧問業務を依頼するなどで役員の業務量はさらに軽減できます。

まとめ

マンションは、維持管理をしっかりと行うことで100年住めるとも言われています。

そう考えると、築30年のマンションでもまだまだ住むことができます。

そのためには、時代の流れに沿ってマンションの管理の仕方も変えていく必要があるでしょう。

今回の情報をリゾートマンション管理組合運営の参考にしていただければ幸いです。

静岡県伊豆にあるマンション管理士かなざし事務所は、自主管理サポートからリゾートマンション管理についての助言も行っております。お気軽にご相談ください。

<お問い合わせはこちら>

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投稿者プロフィール

金指 安弘
金指 安弘マンション管理士
金指 安弘
マンション管理会社でフロントマンとして勤務。
2024年4月15日にマンション管理士 かなざし事務所を設立。
保有資格:マンション管理士
     管理業務主任者
     行政書士(登録申請中)
     宅建士有資格者
     第二種電気工事士
     二級ボイラー技士
     乙種第四類危険物取扱主任者
     甲種防火管理者

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