マンション管理組合の業務を外部委託できる?|第三者管理方式のメリット・デメリットや費用などについて解説
マンションの管理組合の運営は、通常、マンションの組合員で構成される理事会を中心に行われますが、業者に外部委託することも可能です。
管理組合の運営を第三者である専門家(管理会社やマンション管理士)に一部または全部を委託する方式を第三者管理方式と呼びますが、昨今は役員のなり手不足・無関心層の増加・マンションの老朽化などの背景から注目されています。
今回は、静岡県伊豆のマンション管理士事務所『かなざし事務所』が管理組合運営を外部に委託するメリット・デメリットや費用などについて紹介します。
「なぜ第三者管理方式が増えているのか」「第三者管理方式を取り入れるべきか」などがわかりますので、ぜひ最後までごらんください!
目次
マンション管理組合の業務を外部委託できるのか?
結論から言えば、マンション管理組合の業務を外部委託することは可能です。
背景としては、近年、マンションの高経年化の進行等による管理の困難化やマンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでいることが挙げられます。
第三者管理方式とは|メリット・デメリットなど
管理組合の運営を第三者である専門家(管理会社やマンション管理士など)に一部または全部を委託する方式を「第三者管理方式」と呼びます。
第三者管理方式には様々な方法がありますが、大まかに言えば、従来の理事会を廃止して管理会社やマンション管理士などの専門家に管理者になってもらうということで、以下のようなメリットがあります。
- 役員の負担が軽減できる
- マンション管理のプロが運営するので管理が適正化できる
マンション管理会社のフロントマンとして勤務していましたが、マンション管理組合の役員になって大変苦労されている方々を見てきました。
特に、管理費・修繕積立金の値上げをせざるを得ない、大規模修繕工事の実施などの重要議案をかかえていると、到底ボランティアではやっていられないと思える仕事量があります。
輪番制のマンションでは、いつかは役員をやらなければならないので、第三者管理方式にすることで役員の負担を軽減できるというメリットは大きいのではないでしょうか。
次に、第三者管理には以下のようなデメリットも発生しますので注意しましょう。
- 費用負担の増加
- 住民の管理に対しての意識が薄れる
- 利益相反のリスク など
例えば、割高な工事を発注するなど利益相反のリスクに対しては、理事会など区分所有者が監査するなど第三者管理方式の仕組みを工夫することでリスクを軽減できます。
第三者管理方式の費用
第三者管理方式の費用は、管理会社やマンション管理士によって様々ですが、一般的には従来型の管理や顧問契約よりも費用がかかるケースが多いです。
管理者としての業務が増えるわけですから、当然ですね。
第三者管理の方式によっても業務負荷が違いますので、費用対効果をしっかりと検証することが大切です。
静岡県伊豆にあるマンション管理士『かなざし事務所』は、第三者管理方式にも対応しています。
管理組合様のご希望に合わせた管理方式をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
マンション管理組合様向けにメールやリモートで相談できるサービスもありますので、お気軽にお問い合わせください。
第三者管理方式はどこに委託する?
マンション管理組合の運営を外部委託する「第三者管理方式」では、「管理組合運営をどこに委託するか」が重要な問題です。
一般的には、マンション管理会社若しくはマンション管理士など外部専門家に委託することになりますが、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
マンション管理会社に外部委託するメリット・デメリット
マンション管理会社が管理者となる際のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット |
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・窓口が一本化できる ・管理組合の負担が少ない |
デメリット |
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・利益相反取引のリスクがある ・管理組合運営に無関心な層が増加する ・管理会社のミスが気づきにくい |
性善説で考えれば、管理会社が第三者管理を行うのは理想的です。
マンションの区分所有者は、マンション管理組合運営のすべての事項について管理会社に丸投げできますし、役員をやる必要もないのでストレスなくマンションライフを楽しめます。
しかし、性悪説で考えると、大規模修繕工事などはおそらくマンション管理会社若しくは協力業者で進められるでしょうし、日常的な修繕に関しても相見積もりなどコスト削減の努力がなされるかは疑問です。
また、管理会社と管理者が同一になることで、管理不全まで至らなくても、委託契約に記載の業務が行われていないなどのミスや怠慢に管理組合が気づきにくくなるリスクがあります。
マンション管理士に外部委託を依頼する
マンション管理士に外部委託を依頼するメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット |
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・利益相反取引がない ・マンションのプロが管理者になることでレベルの高い管理を実現可能 |
デメリット |
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・マンション管理士のレベルによっては適正な管理がなされないことがある ・顧問料等費用が発生する |
マンション管理士は、コンサル業務の売上が収益になり、工事などを受注することはありませんので、管理組合の利益と相反する取引がないことが大きなメリットです。
また、マンション管理会社のフロントは、フロント担当者の質に大きく左右されますが、マンション管理士は国家資格者なのでマンション管理に関する知識が担保されます。
しかし、中にはマンション管理の実務経験がないなど知識はあるけれど経験がないマンション管理士もいますので、管理会社の実務経験、保有資格、熱意、人柄など慎重に検討する必要があります。(もちろん、管理会社の実務経験がなくても優秀なマンション管理士はいます。あくまで確率の話です。)
マンション管理士の仕事内容については、以下の記事でくわしく紹介していますのでぜひごらんください。
>マンション管理士ってどんな仕事?|管理業務主任者との違いは?
第三者管理方式のパターンは
マンションの第三者管理方式には、以下のパターンがあります。
理事会監視型
理事会監視型は、理事会は残置しますが管理者(管理会社、マンション管理士)の活動内容の監視に特化します。
総会監視型
総会監視型は、理事会をなくし、区分所有者が監査人に就任するパターンです。
その他の外部専門家の活用パターン
その他にも理事会は存続した上で以下のように外部専門家を採用するパターンもあります。
- 外部専門家が理事長に就任し、理事会は存続するパターン
- 外部専門家が理事に就任し、理事長は区分所有者が就任、理事会は存続するパターン
- 外部専門家が監事に就任し、理事会は存続するパターン
それぞれ、メリット・デメリットがありますので慎重に検討しましょう。
まとめ
今回は、マンション管理組合運営を外部委託する第三者管方式など外部専門家の活用について紹介しました。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、管理組合の事情を考慮して慎重に検討することで、管理組合運営の最適化、資産価値の向上につながります。
今回紹介した情報が管理組合運営でお悩みの方々の参考になれば幸いです。
投稿者プロフィール
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金指 安弘
マンション管理会社でフロントマンとして勤務。
マンション管理士 かなざし事務所を設立。
行政書士 かなざし事務所を設立
保有資格:マンション管理士
管理業務主任者
行政書士
宅建士有資格者
第二種電気工事士
二級ボイラー技士
乙種第四類危険物取扱主任者
甲種防火管理者